A Misunderstood Mentor
Chapter 91
【神降ろし】
東方の隠し里に住む小さな一族が代々受け継いできた秘術。
八百万(やおよろず)の神を祭り、その魂を身体に宿す術。
一族の者は五歳になると初神(ういじん)の儀を行い、その身に神を降ろす。
その神は生涯、自分の身を守り、共に歩む掛け替えのないものとなる。
故に、一族の者は神が不快に思わぬよう、生まれた時からその身体を清め、一切の穢(けが)れがなきよう修行する。
あらゆる苦痛に耐え、あらゆる感情を捨て、神の容れ物となるべく、毎日毎日、地獄のような修行に耐え、ようやく神を降ろすことを許される。
そうして得た神は、もはや自分の分身であり、一部となり、その者のすべてとなる。
【四神柱(ししんちゅう)】
神降ろしに似た術式を人間ではなく、柱に宿らせ、その場を神聖な場へと昇華させる秘術。
宿らせるのは、神ではなく、神に仕える玄武、白虎、青龍、朱雀の四体の神獣で、四方に宿すことにより、結界を張ることができる。
四神の効果は様々で、玄武は致命傷となるダメージを肩代わりし、白虎は不正を見抜き、青龍は欠損した部位を治療し、朱雀は死んだものを蘇生させる。
練習試合や訓練に最適なのだが、現在、この秘術を使えるものは、東方最強の仙人とその弟子だったギルド会長のバルバロイだけだと言われている。
【十豪会(じゅうごうかい)】
ギルドランキング上位十名と会長と秘書の十二人で行われるギルド最高会議。
最重要案件が発生した場合に、ギルド会長の判断で開催される。
会議は毎回、ギルド協会本部で行われていたが、タクミがギルドランキング一位になってからは、タクミ洞窟前で行われるようになった。
会議で使われる巨大な円卓は、豪華な装飾の入った直径5メートル程のものであり、時計と同じ0から11の数字が刻まれている。
ちなみに代役を立てずに欠席した場合は、ランキングが下がるなどのペナルティーもあることから、代役なしの完全欠席者は長い歴史の中、一人もいない。
【五大国家】
大陸には大きく分けて五つの国がある。
蛮族地帯、北方ノースカントリー。
神倭ノ地、東方イーストグラウンド。
魔法王国、西方ウェストランド。
機械都市、南方サウスシティ。
総合国家、中央センターワールド。
蛮族地帯、北方ノースカントリーは、勇者の一族がいるとされている地域だが、その他のことはあまりわからない。
北方の者は、勇者以外、他の国へ行くこともなく、他国の侵入を許していない。
噂では、素手で魔物を倒すような蛮族共が溢れている無法地帯だと言われているが真偽のほどは定かではない。
昔、ドラゴンの一族も住んでいたようだが、そこからいなくなったことから、ドラゴンも住めないような恐ろしい国として恐れられている。
(出身者 リック、エンド )
神倭ノ地、東方イーストグラウンドは、隠密や侍がおり、他の国にない「倭(わ)」と呼ばれる独特の雰囲気を持った地域とされている。
レイアやヨルの故郷は、その中でも神降ろしを伝えてきた特殊な隠し里で、イーストパークと呼ばれている。
また、生で魚を食べる習慣があるのはこの国だけで、食文化もかなり異質な国である。
(出身者 レイア、ヨル、バルバロイ)
魔法王国、西方ウェストランドは、魔法が中心となっている国で、魔法のレベルにより、その地位が決まる。
魔法が得意なエルフの一族が多く住んでいるが、人間とは共存しておらず、森で静かに暮らしている。
国のトップは、六老導(りくろうどう)と言われる六人の老人達で、表舞台にはほとんど顔を出さないが、裏から全てを仕切っている。
(出身者 ヌルハチ、リンデン)
機械都市、南方サウスシティは、科学が発達した国で、肉体よりも知能が発達したものが多い。
ドワーフと呼ばれる機械に強い一族が住んでおり、こちらは人間達と共存している。
南方の王は、非常に好戦的で、銃や戦車、究極兵器ダムガリオンなど、数多くの兵器を開発させ、世界征服を目論んでいた。
(出身者 デウス博士、マキナ)
総合国家、中央センターワールドは、その名の通り、五大国家の中心に存在し、最も大きな力を持っている。
世界最大の騎士団を持つルシア王国が統括し、ギルド協会本部もあるこの国が、大陸の中心にあることで、長きにわたり、大きな戦争は起こらなかった。
大陸の中心である為、様々な文化が入り乱れ、この国特有の文化みたいなものはない。
人種や種族の差別もあまりなく、五大国家の中で最も住みやすい国と言われている。
(出身者 タクミ、サシャ、バッツなど)